倒産寸前で苦しい思いをしている社長さんへ、苦境を乗り越えた私からのメッセージ

バブル後の倒産あの時

年商50億、社員数約300名、23年間続けていた私の会社が負債総額18億円で倒産。

8月2日、最後の債権者集会が行われ経営再建の道は閉ざされました。

とても暑い日だったことを覚えています。

破産と言う汚名だけは免れたい、との思いで私は任意整理の道を選びました。

当時は、強引な債権の取り立てに今のような法的な 規制がなく暴力的な取り立てや、反社会的な人間の介入などが当たり前の時代でした。

東京原宿、青山にあった三つの自社ビル、人がうらやむような豪邸とまではいかないが邸宅、乗っている高級車、全てを失い路頭に放り出されると言う状況 日々債権者からの強引な取り立て、身柄の拉致、脅迫など、そこで経験したことは今までの社長時代とは全く違う景色でした。

家族は3人、奥さんとかわいい盛りの小学校1年生の息子。

ちょうど夏休みであり家族に危害が及ぶことのないよう、奥さんを実家に戻し、私は一人で債務整理にあたりました。 約1ヶ月後、夏休みも終わり奥さんと子供が東京に戻ってきた日、私は東京駅へ迎えに行きました。 その時奥さんは、

「あれ車どうしたの」

と聞いてきました。

なぜならそれまでは50億の社長にふさわしい高級車から、迎えに行った車は友達からただで譲り受けた十数年経ったトヨタのライトバン。

多分、奥さんは元の邸宅に戻ると思っていたのでしょう。

ところが到着した新しい自宅は、築40年以上の6畳と4畳半にちっちゃな台所がついている、見るからにみすぼらしいボロ家です。

私は切なく苦しい声で「ここが新しく住む自宅だから」と告げると、奥さんは唖然とし両手に持っていた荷物を力なく地面に落とし、うっすらと目に涙を浮かべていました。

そして私が一生忘れることのない奥さんの一言で、私の心は救われました。

「いいじゃない 雨風しのげればなんとかなるわよ」と。

当時の 再建途中の恐怖や不安、社会や社員さんそして家族への申し訳ない気持ち、その経験や体験によって得られたことが、今、大きな人生の糧となり感謝の気持ちに変わっています 。

だからこそ資金繰りで苦しんでいる社長の気持ちが、現実として痛いほ心にしみてど分かります。

私の倒産は私の経営知識の不足、能力の不足よって自らの手で招いてしまった倒産です。

今の私がもしあの時に戻ったとしたら、倒産の道とは違う経営逆境から脱出し発展成長の道へ舵を切れたものと思います。

現在でも 経営者の経験不足、能力不足情報不足、そして無知によって 倒産しなくてもいい多くの中小企業が倒産しています。

倒産の全てとは言いませんが、その大半は社長さんの経営のやり方が引き起こしたものです。

社長にとっては目の前が真っ暗になるほど大変大きな問題だと思いますが、私の倒産体験から考えても、多くの倒産していく中小企業の大半は必ず再建への道はあります。

これは私の20年以上のコーチング経験、そして2000社以上の経営相談にのり、600社による現場の実務指導の成功経験ならびに知識ノウハウの蓄積から、確実に自信を持って言えることです。

逆境であっても倒産を回避する道は必ずあります。

私のようなどん底の経験をする必要なんてありません。 経営安定させ永続的な繁栄の道を進むことは可能です。

私が倒産した時代はまだ経済が成長期の時代でしたから「再起可能時代」と言ってもいい時代でした。

しかし今は時代背景が全く違います。

中小企業の倒産経営者を快く受け入れてくれる会社も、社会もかなり狭まれています。 社長さん自らの経営で引き起こした問題を、必死にもがき苦しんでも解決することはありません。

現状は、目先の問題に必死にもがき苦しんで対応することではなく、改善解決の新しい方法を学ぶことが優先です。

改めてここでもう一度申し上げますが、

社長さんにとって資金繰りの苦境と言う、前にも後にも動けないがんじがらめの状況、四方は壁に囲まれていようと、上を見れば、青く突き抜ける真っ青な空がそこにはあります 。

 

経営再建スペシャルコーチ 布川 立(ぬのかわりゅう) ユナイテッド・マネージメントオフィス株式会社

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